腹診とは?
ふくしん
腹診とは、腹部を触診・視診して内臓の状態や体質を把握する東洋医学の診察法で、日本の漢方・鍼灸治療において特に発達した技術です。
腹診(ふくしん)とは、東洋医学における四診(望・聞・問・切)のうち切診に含まれる診察手技で、患者の腹部を観察・触診することで全身の気・血・水のバランスや五臓の状態を評価する方法です。
腹診の歴史は古代中国の医書にさかのぼりますが、日本では江戸時代の漢方医たちによって独自に発展し、「腹は生命の根本」という思想のもとで精緻な体系が構築されました。日本独自の腹診論を確立した代表的な医家として、後藤艮山・吉益東洞らが知られています。
腹診では主に以下の点を確認します。
- 腹力(ふくりょく):腹壁の緊張度・軟硬。体力や気の充実度の指標となる。
- 胸脇苦満(きょうきょくまん):肋骨弓下部の抵抗・圧痛。肝の病態を示唆することが多い。
- 心下痞硬(しんかひこう):みぞおち付近の硬さ。消化器系や気の滞りと関連する。
- 小腹不仁(しょうふくふじん):下腹部の軟弱さ。腎虚の指標とされる。
- 瘀血(おけつ)の所見:下腹部の圧痛・抵抗。血液循環の滞りを示す。
漢方薬の処方選択にも腹診所見が直接活用されており、例えば「小柴胡湯」は胸脇苦満を目標とするなど、証(しょう)の決定に重要な役割を果たします。現代の漢方外来でも腹診は標準的な診察として行われています。
使い方・例文
漢方外来で医師や鍼灸師が患者の腹部をやさしく押さえながら、「みぞおちあたりが硬い」と確認し処方の参考にする場面で腹診が行われます。
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