チオレドキシンとは?
ちおれどきしん
チオレドキシンとは、タンパク質のジスルフィド結合を還元して細胞の酸化還元恒常性を維持する小型の酸化還元タンパク質です。
チオレドキシン(Thioredoxin、Trx)は、分子量約12kDaの小型タンパク質で、活性部位に保存された-Cys-Gly-Pro-Cys-というモチーフ(CxxCモチーフ)を持ちます。このシステイン残基がジスルフィド結合(S-S)とジチオール型(-SH HS-)を行き来することで、標的タンパク質のジスルフィド結合を還元(-SH HS-に戻す)し、タンパク質の機能を回復・調節します。
チオレドキシン自身はチオレドキシンレダクターゼとNADPHによって還元型に再生されます。主な機能は以下の通りです。
- タンパク質のジスルフィド結合を還元し酸化傷害を修復する
- 活性酸素種(ROS)の除去に関与するペルオキシレドキシンに電子を供給する
- リボヌクレオチドレダクターゼに電子を供給しDNA合成を支援する
- 転写因子(NF-κBやHIF-1αなど)の酸化還元状態を調節し、遺伝子発現を制御する
チオレドキシンはほぼ全ての生物種に存在し、細胞質・ミトコンドリア・核など複数の細胞区画に局在しています。酸化ストレスが高まる状況(炎症・がん・虚血再灌流障害など)では発現量が上昇することが知られており、がんや老化、免疫調節における役割も注目されています。また一部のがん細胞では高発現が治療抵抗性と関連するとの報告もあります。
使い方・例文
酸化ストレスが生じた際に細胞がタンパク質の酸化傷害(ジスルフィド結合の形成)から身を守る仕組みを学ぶ生化学の授業で、チオレドキシンが抗酸化の中心的な分子として取り上げられます。
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