スズムシソウとは?
すずむしそう
スズムシソウは山地の林床に自生する小型の地生ランで、虫の羽のように見える唇弁がスズムシを連想させる花を咲かせます。
スズムシソウ(鈴虫草)は、ラン科クモキリソウ属(Liparis krameri)に属する多年草で、日本・朝鮮半島・中国に分布する地生ランです。山地の適度に湿った林床や林縁に自生し、初夏に独特の形の花を咲かせます。
草丈は10〜25cm程度で、茎の基部に偽球茎をつくり、そこから2枚の楕円形の葉を展開します。花期は5〜7月で、葉の間から花茎を伸ばし、緑褐色の小さな花を10輪前後咲かせます。最大の特徴は唇弁(リップ)の形で、縁が大きく波打って深緑色になり、羽を広げた昆虫——とりわけスズムシのように見えることがその名の由来です。
スズムシソウの生態的・分類学的な特徴は次のとおりです。
- クモキリソウ属に属し、近縁種にクモキリソウ・ジガバチソウなどがいる
- 菌根菌と共生して養分を補う半腐生的な性質を持つ
- 湿潤で有機質に富んだ土壌を好み、環境変化に敏感
- 花の構造が訪問する昆虫を精巧に誘引する形になっている
環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されており、森林の伐採や乾燥化によって生育地が失われつつあります。地味ながら精巧な花の造形が、野草ファンを引きつけるランです。
使い方・例文
「ブナ林の林床でスズムシソウを見つけた。小さな花の唇弁を正面から眺めると、羽を広げたスズムシそのもので、自然の造形の巧みさに驚く」というように、山野草の観察記録や植物撮影の場面で登場します。
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