クーパー対理論とは?
くーぱーたいりろん
クーパー対理論とは、超伝導状態において電子同士がフォノン(格子振動)を介して対を形成し、電気抵抗ゼロで電流を流せるようになるメカニズムを説明する理論です。
クーパー対(Cooper pair)とは、アメリカの物理学者レオン・クーパーが1956年に示した、通常なら互いに反発しあう2つの電子が超伝導状態では引力的な相互作用によって対を形成するという概念です。この理論はBCS理論(バーディーン・クーパー・シュリーファー理論)の核心をなし、1957年に発表されました。3人は1972年にノーベル物理学賞を受賞しています。
通常の金属では電子は互いにクーロン力で反発しますが、極低温になると次のような過程で引力が生じます。電子が格子(結晶中の陽イオン配列)を通過する際、周囲の陽イオンをわずかに引き寄せて局所的に正電荷密度が高まります。この正電荷の集中が、わずかに遅れてやってきた別の電子を引き寄せ、結果として2つの電子が実質的に引き合う形になります。この仲介役が格子振動の量子であるフォノンです。
クーパー対を形成した電子対はボーズ粒子的な性質を持ち、多数のクーパー対が単一の量子状態(超流動的凝縮)に落ち込みます。この集団的な量子状態は外部の散乱要因(不純物や格子振動)に妨げられないため、電気抵抗がゼロになります。
BCS理論が適用される主な場面と応用例は以下のとおりです。
- MRI(磁気共鳴画像)装置の超伝導磁石
- リニアモーターカーの超伝導コイル
- 量子コンピューターの超伝導量子ビット
- 粒子加速器(LHCなど)の偏向電磁石
使い方・例文
病院のMRI装置は強力な磁場を発生させるために液体ヘリウムで冷却された超伝導コイルを使っており、クーパー対が形成された状態では電気抵抗がゼロになるため、大電流を流しても発熱なく強磁場を維持できます。
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