補瀉とは?
ほしゃ
補瀉とは、東洋医学・鍼灸において体の不足を補う「補法」と過剰を取り除く「瀉法」を組み合わせた治療の基本概念のことです。
補瀉(ほしゃ)は、東洋医学・鍼灸・漢方の中核をなす治療概念で、補法(ほほう)と瀉法(しゃほう)の二つを合わせた言葉です。体内の気・血・津液(体液)のバランスを整えることを目的とし、不足しているものを補い、余っているものや滞っているものを取り除くという正反対の操作を適切に使い分けます。
補法とは、体のエネルギー(気)や血が不足した「虚証(きょしょう)」の状態を改善するための手法です。鍼では、細い鍼をゆっくり刺して長く留め、抜く際に素早く抜く(もしくは穴を押さえる)などの操作で気を補います。漢方では人参・黄耆などの補益薬が代表例です。
一方、瀉法は気・血・邪気(病邪)が過剰・停滞した「実証(じっしょう)」の状態を改善する手法です。鍼では素早く刺して強めの刺激を与え、抜く際に穴を押さえずに開放して余分な気を逃がします。漢方では大黄・芒硝などの瀉下薬が用いられます。
補瀉を適切に判断するために重要な診断の柱は次のとおりです。
- 虚実:体の状態が不足(虚)か過剰(実)か
- 陰陽:冷えと熱のバランス
- 気血水:三要素の過不足・流れの状態
補瀉は単なる強弱の調整ではなく、患者の体質・症状・その時の状態を総合的に診て使い分けるものです。同じ症状でも虚実が異なれば補瀉は逆になることもあり、東洋医学の診断眼が問われる重要な概念です。
使い方・例文
疲れやすく顔色が悪い「気虚」の患者に対しては補法で気を養い、食べ過ぎや強いストレスによる「実証」には瀉法で詰まりを解消するという形で、補瀉は鍼灸治療の選穴・手技の決め手となります。
この用語をシェア
最終更新: