多重検定とは?
たじゅうけんてい
複数の仮説を同時に検定する際に生じる、偽陽性リスクが増大する統計上の問題、およびその対処法の総称です。
多重検定とは、一つの研究や実験において複数の統計的検定を同時または連続して行うときに生じる問題を指します。通常、一つの検定で「有意水準5%」と設定した場合、本来は差がないにもかかわらず偶然に有意と判定される確率(第一種の過誤)は5%以下に抑えられます。しかし20回の検定を繰り返すと、少なくとも一つは偶然有意になる期待値が高まり、全体の過誤率(ファミリーワイズエラー率)は大きく膨らみます。
この問題への主な対処法として、以下のものが広く使われます。
- ボンフェローニ補正:有意水準をα÷検定数で割り、個々の検定を厳しく判断する
- ホルム法:p値を小さい順に並べ、順次補正する(ボンフェローニより検出力が高い)
- FDR制御(ベンジャミニ・ホックバーグ法):偽発見率を抑えることを目標とする、大規模な遺伝子解析などで多用される方法
多重比較問題はゲノム解析・臨床試験・心理学実験など幅広い分野で重要です。補正なしに複数の検定を行い「有意だった」とだけ報告する行為は、研究の再現性を損なう原因になります。適切な手法を選択し、事前に検定計画を登録するなどの透明性確保が求められます。
使い方・例文
たとえば100個の遺伝子発現量を一斉に比較する解析では、補正なしでは本来無関係な遺伝子が複数「有意」と判定されてしまうため、FDR制御などの多重検定補正が必須とされます。
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