ピカレスク小説とは?
ぴかれすくしょうせつ
ピカレスク小説とは、社会の底辺で生きる悪漢(ピカロ)を主人公に、その波乱万丈な放浪や詐欺の経験を通じて社会を風刺した小説の形式です。
ピカレスク小説(悪漢小説)とは、スペイン語の「ピカロ(pícaro)」つまり「悪漢・やくざ者」を主人公に据え、その波乱に富んだ放浪生活と種々の悪行・機知を通じて社会の矛盾や腐敗を描く小説のジャンルです。「ピカレスク(picaresque)」はスペイン語「pícaro」に由来します。
ジャンルの起源は16〜17世紀のスペイン文学にあります。匿名で書かれた『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』(1554年)が先駆的作品とされ、マテオ・アレマンの『グスマン・デ・アルファラーチェ』(1599年)でジャンルが確立しました。主人公は貴族や聖職者ではなく、孤児・使用人・泥棒など社会の最下層から出発し、さまざまな主人に仕えながら成り上がろうとします。
ピカレスク小説の主な特徴は以下の通りです。
- 一人称の自伝的語り口が多い
- 主人公が放浪しながら多様な社会階層や職業と接触する
- 社会批判・風刺が作品の核にある
- 道徳的に灰色な主人公が機知と適応力で生き延びる
後世への影響も大きく、フィールディングの『トム・ジョーンズ』、デフォーの『モル・フランダーズ』、さらにマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』なども広義のピカレスク的作品として論じられます。現代の映画・ゲームのロードムービー的な旅物語にもその系譜が見られます。
使い方・例文
「主人公が孤児から詐欺師・使用人・商人と次々と身分を変えながら社会の裏側を旅するこの物語は、典型的なピカレスク小説の構造をもつ」という形で文学の解説で使われます。
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