クロスオーバひずみとは?
くろすおーばひずみ
クロスオーバひずみとは、アナログ増幅回路においてプッシュプル構成のトランジスタが切り替わる際に生じる波形のゆがみで、音質劣化の原因になります。
クロスオーバひずみ(Crossover Distortion)とは、B級またはAB級プッシュプル増幅回路において、正弦波などの交流信号の正の半サイクルと負の半サイクルを交互に増幅する2つのトランジスタが切り替わる瞬間(ゼロ交差付近)に、出力波形が不連続になることで生じるひずみです。
プッシュプル回路では、NPN型トランジスタが正の半波を、PNP型トランジスタが負の半波を担当します。B級バイアスではそれぞれのトランジスタが入力信号の半周期のみ動作するため、ゼロクロス付近でどちらのトランジスタも十分にオンしていない不感帯が生じ、出力に「くびれ」や不連続な歪みが現れます。
対策としては以下の方法が用いられます。
- ABクラスバイアス:両トランジスタにわずかな順バイアス(静止電流)を与えることで不感帯をなくす最も一般的な手法。
- フィードバック(帰還回路):負帰還によって歪みを補正する。
- クラスA動作:常にトランジスタを導通させる方式。効率は低いがクロスオーバひずみが原理的に生じない。
クロスオーバひずみは主に低振幅の信号(ゼロクロス付近)で顕著に現れるため、小音量再生時の音質に大きく影響します。オーディオアンプの設計では音質を左右する重要なパラメータとして扱われ、THD(全高調波歪み率)の測定で評価されます。
使い方・例文
オーディオアンプの回路設計でバイアス調整が不適切だと、小音量時に「ざらつき」や「歪み感」として聴こえる場合があり、これがクロスオーバひずみの典型的な症状です。回路シミュレータで出力波形を観察するとゼロクロス付近に段差が確認できます。
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