エンリルとは?
えんりる
エンリルとは、古代メソポタミア(シュメール・アッカド)の神話に登場する風と大気の神で、天地の秩序を司る最高神格のひとつです。
エンリルは、シュメール語で「大気の主」を意味する名をもつ神格で、古代メソポタミアの宗教世界において天界の神アヌに次ぐ—あるいは実質的に最上位とも見なされる—権威を持っていました。風・嵐・大気を支配し、地上の秩序や運命を定める力の象徴とされました。
神話における役割として、エンリルは神々の評議会を主宰し、人間の命運を決定する存在として描かれます。シュメールの大洪水神話では、人間の騒がしさに怒ったエンリルが洪水を引き起こして人類を滅ぼそうとしたとされており、これはのちにバビロニアの叙事詩『ギルガメシュ』やヘブライ聖書のノアの洪水伝承と比較されることが多い物語です。
主要な聖地はシュメールの都市ニップルであり、エンリルの神殿「エクル」はメソポタミア全土から崇拝を集めました。ニップルが宗教的中心地として長く機能した背景には、エンリル信仰の広がりがあります。
時代が下るとともにアッカド語圏でも受容され、「ベール(主)」という称号で呼ばれることもありました。後代のバビロニアではマルドゥクがエンリルの地位を継承するかたちで最高神として台頭し、エンリルの神話的役割の多くが引き継がれました。
使い方・例文
「メソポタミア神話を解説する文章で、洪水伝承の起源を探るときにエンリルの怒りが引き合いに出されます」という場面でよく登場します。
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