辰砂釉とは?
しんしゃゆう
辰砂釉とは、銅を発色剤として用いた陶磁器の釉薬で、深みのある赤色を特徴とする伝統的な技法です。
辰砂釉(しんしゃゆう)とは、銅化合物を還元焔焼成することで、鮮やかな赤から深みのある紅色を生み出す陶磁器用の釉薬です。名前の「辰砂」は本来、硫化水銀(HgS)からなる赤色鉱物を指しますが、陶磁器の辰砂釉では主に銅が発色剤として使われます。
発色の仕組みは焼成雰囲気に大きく依存します。酸素が少ない還元焰の中で焼くと、釉薬中の銅イオンが還元されて赤系統の色を呈します。一方、酸化焰で焼くと緑色になるため、同じ釉薬でも焼成管理が色調を左右します。温度・雰囲気・冷却速度のわずかな違いで、緋色・牛血色・深紅など様々なバリエーションが生まれるため、コントロールが難しい釉薬として知られています。
中国では宋代から明代にかけて「鈞窯」や「郎窯紅」などで高く評価され、日本には江戸時代以降に技術が伝わりました。現代でも陶芸家が好んで用いる技法のひとつで、ひとつとして同じ発色にならない偶発性が魅力です。
- 発色剤:銅化合物
- 焼成雰囲気:還元焰が必須
- 色の幅:緋色・牛血色・深紅・ワインレッドなど
- 難点:温度と雰囲気の精密管理が必要
伝統工芸から現代陶芸まで広く受け継がれており、窯変の美しさを楽しむ鑑賞陶器にも多く採用されています。
使い方・例文
辰砂釉は花瓶や茶碗などの作品に用いられ、炎の偶然が生み出す深紅の発色を楽しむ際に登場します。
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