ATP合成酵素とは?
えーてぃーぴーごうせいこうそ
ATP合成酵素とは、ミトコンドリアや葉緑体の膜に存在し、プロトン勾配を利用してATPを合成する分子モーター型の酵素です。
ATP合成酵素(ATPシンターゼ、ATP synthase)は、生体のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)を合成する酵素です。ミトコンドリアの内膜、葉緑体のチラコイド膜、細菌の細胞膜に存在し、膜を挟んで形成されるプロトン(H+)の濃度勾配(電気化学的勾配)を駆動力として利用します。
構造的にはF型ATPaseとも呼ばれ、2つの主要ユニットで構成されています。
- F0部分:膜内に埋め込まれた疎水性ユニット。プロトンチャネルを形成し、プロトンの通過によって回転運動を生み出す。
- F1部分:膜外に突出した親水性ユニット。F0の回転エネルギーを受け取り、ADPとリン酸からATPを合成する触媒サイトを持つ。
この酵素はまさに「分子モーター」として機能し、プロトンが膜を通過するたびにF0が回転し、その回転力がF1に伝わってATPが合成されます。1回転(約120度)ごとに1分子のATPが生成されると考えられています。この回転メカニズムの解明は、1997年のノーベル化学賞(ポール・ボイヤー、ジョン・ウォーカー)に結びつきました。
好気性呼吸において細胞が産生するATPの大部分はこの酵素によって合成され、生命活動のエネルギー供給における中心的な役割を担っています。
使い方・例文
ミトコンドリアでは電子伝達系によって形成されたプロトン勾配を利用して、ATP合成酵素が1分子のグルコースから最終的に30〜32分子ものATPを合成します。生物の「エネルギー工場」を象徴する分子として生物学の授業で頻繁に登場します。
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