アカパンカビとは?
あかぱんかび
アカパンカビとは、赤橙色の胞子を持つ糸状菌(カビ)の一種で、遺伝学・分子生物学の重要なモデル生物として研究に広く利用されています。
アカパンカビ(赤パン黴、学名:Neurospora crassa)は、子嚢菌門(しのうきんもん)に属する糸状菌です。成熟すると赤橙色の分生子(ほうし)を大量に生産することから「赤パン黴」の名がつきました。自然界ではパンや焼けた植物の残骸などに発生することが知られています。
アカパンカビが科学史において特に重要な理由は、遺伝学の分野における「1遺伝子1酵素説」の確立にあります。アメリカの生化学者ジョージ・ビードルとエドワード・テータムは、アカパンカビを使った実験により、ひとつの遺伝子がひとつの酵素(タンパク質)の合成を支配するという原則を示し、1958年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
モデル生物として優れている点は複数あります。
- 世代交代が速く、遺伝実験が短期間で行える
- 半数体(ハプロイド)で生活する時期があり、劣性遺伝子の表現型が観察しやすい
- 胞子が有性生殖後に一列に並んで形成され、減数分裂の過程を直接解析できる
- ゲノム解読が完了しており、分子生物学・ゲノム科学の研究に活用されている
現在も概日リズム(体内時計)の研究や、真核生物の遺伝子発現メカニズムの解明など、幅広い基礎生物学研究で活躍するモデル生物です。
使い方・例文
「アカパンカビを使った実験で、遺伝子と酵素の関係が初めて証明された」のように、生物学・遺伝学の授業や教科書の中で登場します。
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